【2~3面】 ************************************************** # 特集 ************************************************** -------------------------------------------------- # 「協働」する「学生」たち -------------------------------------------------- 昨年4月に地域と学生を繋げるプラットフォームとしての機能を持たせた地域連携拠点としてリニューアルオープンした「和歌山市地域フロンティアセンター」。まちなかに開学した2大学の学生たちが、フロンティアセンターを舞台にそれぞれの強みを生かし、地域の課題の解決に取り組んでいます。 令和初の新年号では、新しい時代を担う若い力にスポットをあてて、学生協働によるイベント「子育て支援ほほえみキャンパス」を取材しました。 (写真) 【1】【2】準備段階ではそれぞれの大学の学生がお互いの専門分野を生かしながら、イベントに向けた話し合いを重ねました。 【3】〜【7】イベント当日は多くの親子が訪れ、巨大迷路や親子体操、親同士の交流の場など、学生たちが用意した企画を楽しみました。 -------------------------------------------------- # まちなかの2大学が協働 -------------------------------------------------- 2018年、2019年に続けてまちなかに開学した、東京医療保健大学と和歌山信愛大学。昨年5月、その2つの大学の学生8人による学生協働プロジェクト「つぼみ〜ほほえみキャンパス〜」が始動しました。 地域の課題解決へ 学生たちが着目したのは子育て支援です。東京医療保健大学の強みは「母子の健康増進や心身の疾病予防」、和歌山信愛大学の強みは「子供の発達支援と日常の親子支援」。それぞれの強みを生かすことで、様々な問題に対応した子育て支援ができると考えました。 昨今は、地域のつながりの希薄化・核家族化による育児の孤立化や子供への虐待などが問題となっています。学生たちは、このような問題に対し、子育て中の親の育児不安などの実態や要因を明らかにし、大学を拠点とした子育て支援を検討することを目的に研究する中で、今回のイベント「ほほえみキャンパス」の企画に至りました。 「つぼみ」の学生代表で東京医療保健大学2年生の森田悠衣花さんは「地域に実習に行ったとき、『地域のつながりが無く、近くに親戚もいなくて相談する相手がいない』という話を聞いたので、このイベントでは、そういう人たちが自助できる場を作りたいと思っています。」と話してくれました。 -------------------------------------------------- # 「ほほえみキャンパス」開催 -------------------------------------------------- イベント当日、2大学から計38人の有志学生が参加しました。会場となった和歌山市地域フロンティアセンターには、0歳〜4歳の子供と保護者46組、総勢120人が訪れ、子供たちは巨大迷路やお絵かきコーナーなどで学生と一緒に楽しく遊びました。保護者同士が育児の悩みや嬉しかったことなど共有する「集いの場」では、保護者が育児の話で盛り上がり、保護者同士のつながりのきっかけとなっていました。ほかにも、保健師や助産師に育児の悩みを相談できるブースや、親子で楽しめる親子体操など、学生の視点で工夫した催しが盛りだくさん。会場は親子と学生の笑顔で溢れていました。 また、学生たちは参加者を楽しませるだけでなく、育児不安や子育て支援のニーズなどを知るために、保護者の話に真剣に耳を傾け、アンケートに協力してもらうなど、熱心に取り組んでいました。 参加した親子は「他のママさんと話せる機会があってよかった」「学生にかわいがってもらえて子供も嬉しそうだった」と、参加者にとって満足度の高いイベントとなりました。 (写真)「集いの場」では保護者から育児に関するたくさんの意見が出ました。 -------------------------------------------------- # 未来への新たな一歩 -------------------------------------------------- このイベントは研究の一環で、研究の目的は、地域の子育て支援ニーズの把握と子育て支援方法の検討。学生たちの研究はこれからも続きます。 まちなかにできた2つの大学が、それぞれの強みを生かして協働し、子育てに関する地域の課題を解決するために、地域フロンティアセンターを舞台に新たな一歩を踏み出しました。 -------------------------------------------------- # 「つぼみ〜ほほえみキャンパス〜」 -------------------------------------------------- 東京医療保健大学和歌山看護学部×和歌山信愛大学教育学部 東京医療保健大学和歌山看護学部の2年生と、和歌山信愛大学教育学部の1年生、お互い1期生同士で、8人の学生から立ち上がりました。 つぼみのような未熟な学生たちが、2大学の強みを生かした子育て支援を目指し、笑顔あふれる支援の輪を広げながら、子供や保護者一人ひとりの花が開くようにという願いが名前に込められています。 -------------------------------------------------- # 初めてのイベントを終えた学生に話を聞きました。 -------------------------------------------------- 東京医療保健大学 森田 悠衣花(もりた ゆいか)さん 和歌山信愛大学 小川 海名(おがわ みな)さん ――今回、イベントに参加して学んだことはありますか。 小川 保護者の方の話を聞いて、夜泣きへの対応とか、子供一人一人によって対応が違ったりして、それがすごく勉強になりました。 森田 子育てに関して私たちがまだ知識が浅い中で、このイベントを通して、子育てに関して学んだりとか、保護者の方が何を必要と考えているのかを学べたかなと思っています。 ――今後の目標は。 小川 私は子供に楽しんでほしいと思っているので、もっと子供たちがずっと飽きずに楽しんでもらえることを探していきたいです。今回は、子供たちが保護者の方と離れずにいたので、これからは、保護者がいなくても、子供と私たちだけでずっと楽しめるような、保護者の方が休憩できるくらい、子供が私たち学生と遊びに集中できるような空間を作っていきたいです。 森田 今後は、いろんな団体と協力してこの取組を大きくしていきたいです。あとは、今回出来なかったこと、例えば看護の勉強をしている学生から保護者への情報提供など、今回は難しかったことも、今後は実施できるようにしたいです。今回は第一回だったので、これから課題点を見つけて、今後につなげていけたらと思っています。 今年の4月にも、新しい大学や大学院が本市に開学します。 まちなかに次々と若いちからが生まれ、学生たちによる新しい試みがさらに続いていくことが期待されます。