(令和6年3月号)県都和歌山市の人口問題
和歌山市は言うまでもなく全国47都道府県の県庁所在都市の一つです。しかし、県庁所在都市の中で最も早く連続的に人口が減少し始め、約半世紀に渡って人口の流出が続いています。
このため、平成27年度から「地方創生」として、若者定着のための大学誘致、産業振興、子育て支援、官民協働のまちづくりなどに取り組んできました。その結果、令和元年には、45年ぶりに人口の転入が転出を上回る社会増となりましたが、コロナ禍以降再び社会減となっています。人口減少は、地域の産業を衰退させ活力を低下させますが、それ以上に深刻なのは、若者の減少により福祉などの社会保障や災害時の対応力が維持できなくなることです。
そのため、これまでの地方創生で足りなかったことを反省検証し、若年層の流出に歯止めをかけていくための思い切った戦略を策定するのは、活力の残っている今しかないと思います。
幸いにも、これまでの8年に渡る地方創生の取組で、和歌山市に三つの大きな変化が生じています。一つ目は、財政再建です。これまで財政の構造改革に努めてきた結果、昨年と今年で26年ぶり2期連続で赤字のない当初予算となり、今年も継続し安定した財政運営が出来ています。二つ目は、大規模な企業誘致です。加太にグーグル系のデータセンターの進出が決まり、また、北港の関西電力の未利用地が活用に向けて動き出すなど、これまでの既存産業に加え、未来の基幹産業となる企業誘致の条件が整ってきました。三つ目は、民間投資の活発化です。旧市民会館跡にホテルやDXセンターなどが入る大規模な民間施設や駅前再生など、市駅周辺全体のグランドデザイン、さらにJR和歌山駅、和歌山城周辺に大規模な民間投資を呼び込むまちづくりが進みます。私自身不退転の覚悟で、こうしたラストチャンスとも言える変化を捉え、県都らしく求心力を持って人口の社会増を実現していこうと決意しています。