(令和3年5月号)子どもは社会の宝、社会は子どもの宝
「銀も金も玉も何せむに まされる宝 子にしかめやも」どんな秀でた宝も子どもには及ばないという、わが子への親の愛を詠んだ万葉歌人山上憶良の歌ですが、子どもは親だけでなく地域や社会にとっても大切な宝です。
4月からピカピカの1年生が、体がすっぽり隠れるほどのランドセルを背負って通学する光景は、通勤途中の大人たちの気持ちまで明るくしてくれます。そして、通学路の辻々には、「横断歩道、上手にわたれるかな。」「困っている子はいないかな。」と子ども達の登下校を見守ってくれている方々がいます。雨の日も、暑い日も「おはよう、気ぃ付けて行きや。」と声をかけてくれています。元気に挨拶を返す子、照れながら小さな声で挨拶をする子など様々ですが、通りかかった保護者の方が「ありがとうございます。」「ご苦労様です。」と声をかける光景も見られ、このようにお互いを思いやれる社会に包まれて子ども達は、心豊かに育っていけるのではないかと感じます。
子どもは社会の中で育まれ、大人の背中を見て育っていきます。子ども達にとって、社会のありようは、大切な宝です。地域の祭りや文化を継承し、交流を一生懸命にされている自治会の方、いじめや虐待をうけていないか見守り相談を受けている民生児童委員はじめ多くの方々が、子ども達のために活動をされています。また、そういった温かい思いに感謝し、必要な時には出来る範囲で協力し合うといった、大人たちの行動やちょっとした会話の中に子ども達は未来の自分を見つけていきます。
5月5日はこどもの日。多くの人に感謝するとともに、あらためて健やかな子ども達の成長を願うばかりです。